10年目からの日々を見据えて
先日、お店の裏のウッドデッキを完全に撤去しました。10年前、Nagaiki-工房さんと一緒に暗くなるまで作業した思い出の詰まったウッドデッキ。建物の北側だったこともあり、乾きの悪さがあったのは確かですが、何より自分たちがメンテナンスを怠ったことが10年で腐らせてしまった原因だと思っています。
小さなおうちを直接デッキの上に常設していたことも、デッキの腐敗を加速させたかもしれません。小さなおうちは、たくさんの子供たちに遊んでもらったし、大人のお客様も結構喜んでくれたと思います。ただ、いつの間にか広いウッドデッキは小さなおうちに出入りするためだけに使われるスペースになっていたのも事実。(もちろんデッキで寛ぐのが大好きなお客様もいらっしゃいます。)
どうせなら広いデッキがいい。あまり深く考えずに作ってしまったものの、なんとも落ち着かない感じで持て余し気味のまま10年が経ち、とうとう壊さざるを得なくなってしまいました。
新型コロナウイルスの影響で、飲食店の在り方や存続そのものが問われかねないこの状況で、また新しいデッキを作るのはちょっとどうなんだ、という気もしないでもない。でもこんな状況だからこそ、この場所をより素敵にする何かを作りたいとも思うのです。
壊したものと同じようなものをただ作り直すのではなく、根本的に違う何か。そしてデッキそのものだけではなく建物と田んぼの間のスペースをトータルで考えて、ここに来てくれるたくさんのお客様がより良い時間を過ごしていただけるような何かを作り上げたいと思っています。
今回のプランを考えるにあたって、ポイントがいくつかあります。
- 換気の心配をせずに過ごしていただける客席の確保
- 多少の悪天候でも過ごせるスペース
- 店内からの眺めを極力遮らない工夫
- 小さなおうちの再設置
- ペット連れのお客様のためのスペース確保(できれば!)
- 手入れのしやすさ(植栽も含め)
これらのポイントを抑えた上で、なんかいい感じにしたい。曖昧ですが、、、。
ただ見た目がいい感じで機能的、とかではなくて、店内やデッキ席や小さなおうちの中で過ごすお客様の表情や視線や心の動きみたいなものを想像しながら、一つひとつじっくり考えていこうと思います。
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最後に、今回のウッドデッキ解体そのものは自力で(老体に鞭打ちながら)やりきったのですが、解体中に自分でぶった切ってしまった丸鋸のコードを修理してくれたり、廃材の処分を手伝ってくださった地元の方に心から感謝しています。
ここに建物を建てる前の地鎮祭の日、犬の散歩をしていた地元の方に言われた言葉があります。
ここじゃ損得じゃやっていけねえぞ
そのときはお店のことも何も決まっていなかったし、その方はきっと「こういう土地では損得だけで行動してたらダメだよ」って言いたかっただけなのだと思うけど、結果的にぼくたちはずっと、10年以上が経った今も、この言葉を胸にお店を続けています。
そしてその言葉をかけてくれた方が、今回ウッドデッキの解体でお世話になった方です。時に厳しく、たまに優しく、身をもって示してくれることにただただ感謝です。
そしてもう一人、今回解体したウッドデッキを一緒に作ってくれたNagaiki-工房さん。土地探しや家づくりでお世話になっただけでなく、道具の使い方やデッキの作り方、その他モノを作るための様々なことを教えてくださったこと、本当に感謝しています。
その時の経験があるから、新しい何かを作りたいと思うとき、自分で考えて手を動かすことができる。大袈裟な言い方かもしれないけど、Nagaiki-工房さんは、ぼくたちが自ら自由に羽ばたくための翼を与えてくれたのだと思います。
ここにカフェを作ってから今年で10年。
この場所でぼくたちにできること。
この場所を接点としてたくさんの人たちと関わっていくこと。
この場所をきっかけに生まれる何か。
そんなことに思いを巡らせながら、Nagaiki-工房さんがくれた翼を携え、地元の方の背中を見て、お客様の顔を一人一人思い浮かべながら、10年目からの日々を見据えて少しずつでいいから進化していきたいです。